知らないと損をする!? オフセット、オンデマンド、印刷方法の違いと選び方

1.初めに~違いを知る事がコストと納期短縮の近道

オフセット印刷とオンデマンド印刷の違いを知る事で、表現出来る事やコスト、納期などのハンドリングが容易になります。一括りに印刷と言っても、数千もの紙質や加工がありその掛け合わせで出来るのが印刷物なのです‼ただのコストとして考えればそこまでこだわる必要も無いかと思いますし、逆にブランディングをしっかり行いたいとなると下記の事例のように用紙の選定から行う事も必要になります。印刷ってホントに奥が深い世界なので、これからデザイナーとして働く方には是非読んでいただきたい内容になっています。

2.目次

3.印刷方法の種類と特徴

(1)オフセット印刷

オフセット印刷は、現在でも最も一般的な印刷方法の1つです。この印刷方法では、プレートと呼ばれる版にインキを付け、その後、ブランケットと呼ばれる転写用のゴムのシートを介して、印刷物にインキを転写します。この方法により、高品質の印刷物を大量に生産することができます。

オフセット印刷の特徴は、高品質な出力と広い色域です。また、紙やインキの種類によって印刷物に様々な質感や色味を出すことができます。ただし、オフセット印刷は版作成に時間と費用がかかりますので、小ロットの印刷には向きません。また、インキの乾燥時間が必要であるため、納期が短い場合には不向きです。

(2)オンデマンド印刷

オンデマンド印刷は、パソコンから直接出力するための印刷方法であり、オフセット印刷と比べて高速かつ低コストで印刷ができます。また、完全にデジタルで行われるため、必要な部数だけ印刷することができ、在庫リスクや廃棄リスクを低減することができます。

オンデマンド印刷には、トナー方式とインクジェット方式という2つの方法があります。トナー方式は、光電子感光体の上にトナーを乗せ、転写させた後に紙に焼き付ける方法で、カラーレーザープリンターが代表的です。一方、インクジェット方式は、インクを噴射して印刷する方法で、カラーインクジェットプリンターや大型インクジェットプリンターが代表的です。

オンデマンド印刷の特徴としては、高品質かつ精密な印刷が可能であり、短納期・小ロット対応ができる点が挙げられます。最近では特色トナー(金・銀・蛍光色)や、補色トナー(ライトシアン、マゼンタ、グレー、バイオレット、グリーン、オレンジ)の出現によりRGB色を再現出来るまでになりつつあります。

オフセット印刷に比べて印刷機械の進化が近年ではすさまじく、デザインの表現自由度がかなり高まっています。ただし、発展途上の技術でもあるため用途や予算などを事前に相談しながら制作を進めていく事をおすすめします。

(3)インクジェット印刷

インクジェット印刷とは、液体インクを用いて紙面に直接印刷する方法です。主に小規模な出力や試作品の印刷に使用されます。その特徴は、高品質な写真やグラフィック表現が可能であること、低コストで小ロットの印刷が可能であることです。

インクジェット印刷は、鮮やかな色表現ができるため、チラシや写真を個人で印刷される方も多いでしょう。弊社ではA3サイズ以上の大判サイズのインクジェット印刷を手がけています。業務用インクジェットプリンタは家庭用プリンタよりもさらに数段、色味の再現性が上がっており画面でみたイメージとニアリーイコールになりつつあります。デザイナーさんやイラストレーターさんが求める表現を叶えられるのはインクジェットが一番かもしれません。

しかし、インクジェット印刷には印刷速度が遅いため、大量の印刷物をまとめて印刷する場合は、時間とコストがかかるという弱点があります。そのため、大量生産にはオフセット印刷が適しています。

以上のように、インクジェット印刷は小規模な出力やデザインに向いており、オンデマンド印刷に適しています。用途や目的に合わせて、印刷方法を選択することが重要です。

4.オフセット、オンデマンド、インクジェット印刷の違い

(1)印刷原理の違い

オフセット印刷は、プレートにインクを付けた後、転写シートを介して印刷物に転写します。このプロセスにより、高品質の出力が得られます。一方、オンデマンド印刷は、デジタルデータを直接印刷物に出力します。この方法は、少量の印刷物に適しています。インクジェット印刷は、小さなインク滴を使用し、紙に直接印刷します。この方法は、画像や写真の印刷に適しています。

これらの印刷方法の違いは、素材の種類や印刷物の用途によって重要です。オフセット印刷は、高品質の印刷物を必要とする場合に適しています。一方、オンデマンド印刷は、小ロットの印刷物を必要とする場合に適しています。また、インクジェット印刷は、色や画像の再現に重点を置いた印刷物に適しています。

以上のように、印刷原理の違いは、印刷物の用途や用途に合わせた選択に重要な役割を果たします。

(2)出力の品質や精度の違い

オフセット印刷は、高品質で精密な印刷が可能です。特に、大量の印刷物を作成する場合に適しています。これに対して、オンデマンド印刷は、1冊から印刷が可能であり、短時間で納品ができるという利点があります。しかし、高品質な印刷をする場合は、オフセット印刷に比べ、その精度は劣る傾向があります。インクジェット印刷は、カラフルな表現が可能であり、写真やイラストの印刷に適しています。ただし、文字の印刷は、オフセット印刷やオンデマンド印刷に比べ、精度が劣る場合があります。

以下の表に、各印刷方法の出力の品質や精度の特徴をまとめました。

印刷方法出力の品質や精度の特徴
オフセット印刷高品質で精密な印刷が可能。
オンデマンド印刷納期が短く、1冊から印刷が可能。高品質な印刷は劣る傾向がある。
インクジェット印刷カラフルな表現が可能。写真やイラストの印刷に適しているが、文字の印刷は精度が劣る場合がある。
各印刷方法の出力の品質や精度の特徴

出力の品質や精度は、印刷物の用途によって選択する印刷方法が異なります。高品質な印刷物を作成する場合は、オフセット印刷が適しています。一方、短時間での納品や少量の印刷物を作成する場合は、オンデマンド印刷が適しています。また、写真やイラストを多く使用する場合は、インクジェット印刷が適しています。以上のポイントを考慮しながら、適切な印刷方法を選択することが大切です。

(3)用途や数量による選択の違い

オフセット印刷は、大量の印刷物を必要とする場合に適しています。一方、オンデマンド印刷は、少量の印刷物を必要とする場合に適しています。また、インクジェット印刷は、小ロットでの製造に適しています。

<用途で考えると?> 例えば、名刺やパンフレットは、オフセット印刷が適していますが、プロトタイプや試作品は、インクジェット印刷が適しています。また、イベントなどで配布するフライヤーは、オンデマンド印刷が適しています。

<数量で考えると?> 例えば、ロット数が少ない場合は、オンデマンド印刷がコストパフォーマンスが高く、無駄を省くことができます。一方、ロット数が多い場合は、オフセット印刷が一般的にコストパフォーマンスが高くなります。

用途や数量によって選ぶことができる印刷方法については、以下の表のようにまとめることができます。

用途数量印刷方法
ビジネスカードやパンフレット大量オフセット印刷
プロトタイプや試作品小ロットインクジェット印刷
イベントなどで配布するフライヤー少量オンデマンド印刷
用途や数量によって選ぶことができる印刷方法

用途や数量に合わせて適切な印刷方法を選択することで、コストや品質、納期などを最適化することができますよ!

5.選ぶときに考えるポイント

(1)用途や目的に合わせた選択

印刷物の用途や目的に合わせて、印刷方法を選択することが重要です。一般的に、オフセット印刷は大量生産に向いており、印刷原稿の作成や版下作りが必要ですが、高品質な印刷物を生産できます。一方、オンデマンド印刷は少量からでも印刷できるため、納期の短い印刷物に向いています。また、インクジェット印刷は、写真やグラフィックに優れた表現力があります。

さらに、用途によってはある程度の防水性や耐久性が必要な場合もあります。例えば、屋外で使用する看板やポスターの場合は防水性が重視されます。そのため、オフセット印刷よりもインクジェット印刷の方が適しています。また、名刺やパンフレットなどの紙製品の場合、紙の厚さや質感により印刷物の印象が変わります。そのため、紙の種類や厚さを選ぶことも重要です。

表を使って選択ポイントを整理すると以下のようになります。

用途印刷方法特徴
大量生産オフセット印刷高品質・低コスト
少量生産オンデマンド印刷納期が早い・高品質
写真やグラフィックインクジェット印刷表現力が高い
防水性が必要インクジェット印刷屋外看板などに適している
紙質や質感にこだわりたいオンデマンド印刷用途に合った紙を選べる
用途や目的に合わせた選択ポイント

以上のように、用途や目的に合わせた選択が重要であり、それによって印刷物の品質や印象が大きく左右されます。

(2)予算や納期に合わせた選択

印刷物を作成する際には、予算や納期を考慮することが重要です。それぞれの印刷方法によって、費用や時間にかかるコストが異なるため、用途や目的に応じて最適な印刷方法を選択する必要があります。

例えば、オフセット印刷は大量の印刷物を作成する際に有利であり、その分コストも安くなります。しかし、納期が短い場合にはその分の価格が加算されます。逆に、オンデマンド印刷は少量印刷に向いており、その分コストは高くなりますが、短納期にも対応できます。

予算に余裕がある場合には、用紙や加工にこだわった高品質な印刷物を作成することが可能です。しかし、予算が限られている場合には、コストパフォーマンスの良い印刷方法を選択することも必要です。

特徴費用印刷方法
大量印刷に向いている安価オフセット印刷
少量印刷に向いている中価格オンデマンド印刷
写真やグラフィックに向いている高価インクジェット印刷
コストパフォーマンス別印刷方式

以上のように、予算や納期に合わせて印刷方法を選択することが大切です。目的や用途によって最適な印刷方法を選び、コストパフォーマンスを考慮しながらデザイン制作を進める事で、紙媒体の価値はまだまデジタルと比較しても優位性が保てますよ!

(3)印刷物のデザインや色味に合わせた選択

印刷物のデザインや色味に合わせた選択をするためには、印刷方法と紙質の選択が重要です。例えば、色の再現性や印刷物の質感などは紙質によって大きく異なるため、用途やデザインに応じて選択することが必要です。

また、印刷方法によって再現できる色味や表現力も異なります。オフセット印刷は多彩な色味を再現できる一方、インクジェット印刷は写真などの高精細な表現が得意です。オンデマンド印刷は小ロット・短納期に対応できる反面、再現性やコスト面でオフセット印刷に劣ります。

以下に、印刷方法別に適した紙質と表現力の特徴をまとめました。

表現力の特徴適した紙質印刷方法
多彩な色味、高品質な印刷物コート紙、マット紙、上質紙オフセット印刷
簡易的な印刷物から高品質な印刷物まで幅広く対応可能コート紙、マット紙、上質紙、特殊紙オンデマンド印刷
写真やイラストなど高い再現性を求められるものマット紙、光沢紙、微光沢紙、合成紙、バックライトフィルムなどインクジェット印刷
印刷方法別に適した紙質と表現力の特徴

以上のように、用途やデザインによって適した印刷方法と紙質を選択することで、印刷物の品質や表現力を最大限に引き出すことができます。また、色味の再現性や印刷物の質感などはプリプレス作業にも影響を与えるため、印刷前にしっかりと検討することが大切です。

6.まとめ

「オフセット印刷」は、版を作って、インキをつけたローラーで印刷する方法です。大量生産に向いており、高品質で、細かい文字や図形もきれいに表現することができます。ただし、版が必要であるため、初期費用が高く、少量印刷には向いていません。

「オンデマンド印刷」は、コンピューターから直接印刷する方法です。必要な分だけ印刷できるため、少量印刷に向いています。また、データを変更しても版を作り直す必要がないため、短納期にも対応できます。ただし、高速で印刷するため、印刷の品質はオフセットに比べ低くなることがあります。

「インクジェット印刷」は、インクを微細なノズルから噴射して印刷する方法です。高品質で写真などのグラフィックも綺麗に表現でき、少量印刷にも対応できます。

このように、3つの印刷方法にはそれぞれ特徴があります。用途や数量、納期、予算などを考慮し、適切な印刷方法を選択することが大切です。

印刷物でお困りの際は、是非「アルプス・コンシェルジュ」までお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人